私達の宇宙は私達で守る!宇宙の掃除人アストロスケール

企業名:ASTROSCALE PTE. LTD. 

業務内容:衛星サービス

ご利用サービス:kintone on cybozu.com

利用用途:購買稟議、契約書・NDA管理、出張申請、休暇申請など


 ASTROSCALE PTE. LTD.(以下アストロスケール社)2013年、シンガポールに誕生した。CEOの岡田光信氏は元大蔵省、

McKinsey & Company, Inc.を経て、その後も華々しいキャリアを築き、今は宇宙ゴミ問題の解決に世界中を飛び回っている。 

 

そんなアストロスケール社の事業内容に迫るべく、同社Corporate Officeの牧野愛氏にお話を伺った。

ASTROSCALE PTE. LTD CEO 岡田光信氏


事業

 アストロスケール社の事業はスペースデブリと呼ばれる、いわゆる宇宙ゴミを除去することである。

 

そもそも宇宙ゴミとは何だろうか。事故・故障が原因で制御不能となり軌道上に浮遊している人工衛星や、衛星の打ち上げに使用されたロケット、またその一部など、過去の宇宙活動から発生し不要となった人工物体である。その数、10cm以上のゴミであれば2万個、1㎝以上のゴミであれば100万個、それ以下のものは1億個を超えるといわれている。

ASTROSCALE PTE. LTD. Corporate Office 牧野愛氏


果たしてこの宇宙ゴミの一体何が問題なのだろうか。広いはずの宇宙にゴミがあると言われても、その危険性についてピンと来ない方も多いかもしれない。

宇宙ゴミのサイズと数 http://astroscale.com/about

 しかしこのスペースデブリ問題は深刻な問題として近年注目されている。宇宙ゴミの存在に宇宙飛行士は常に生命の危機を感じているという。2013年話題になった映画『ゼロ・グラビティ』(原題:Gravity)でも、スペースシャトルがその直撃を受けることから物語が始まる。本物の宇宙飛行士にとっても、「宇宙飛行で一番怖いのはロケット発射時でも着陸時でもなく、宇宙空間滞在中の宇宙ゴミとの遭遇」だという。(牧野氏)


 宇宙ゴミは秒速78kmで地球を周回しており、ピストルの弾丸の10倍相当のスピードとなる。さらに、何十メートルまたは1トン級の衛星やロケットの上段が浮遊している宇宙で、小さいデブリでも大きなデブリに衝突すると、この衝突エネルギーをもってさらに多くのデブリが生み出されるのである。

 宇宙ゴミの増加量 http://astroscale.com/about


 このようなインパクトが大きいゴミを除去するという目標を掲げ、アストロスケール社が行っているメインプロジェクトがADRAS (アドラス:Active Debris Removal by Astroscale)という小型衛星打ち上げプロジェクトで、2018年の実証実験を予定している。方法としては、60㎤、重さ約100kgのデブリ捕獲衛星を打ち上げて、ゴミに接近し、特殊な粘着手法をもって宇宙ゴミを捕獲する。そして推進剤を使って宇宙ゴミの起動速度を減速させ、大気圏に落ちる起動に誘導し、大気圏摩擦でゴミを焼却するというものだ。宇宙空間で自由に浮遊しているゴミに接近するのはとても難しいという。このプロジェクトの目的は、次の3つの技術を実証することである。第1に、軌道上で自由な動きをする非協力物体(宇宙ゴミ)へ接近できる技術、第2にアストロスケール社が使用する粘着手法、そして第3に推進力の調整によって高度を落とし大気圏に突入する際にゴミを焼却する技術である。

 このプロジェクトには膨大な費用と時間がかかる。マイナス50℃から200℃の気温の幅がある宇宙環境に耐久出来る部品や衛星の検証実験が必要だが、その検証環境の再現を含め高額な費用が必要だからだ。宇宙ゴミの問題はどの国に責任が帰属するとは言い切れない。その中で、一つのゴミを掃除するのにかかる膨大なコストを誰が負担するのかという問題が残る。宇宙の規制に関しても、国連や各国の宇宙機関がどのように連携していくのかという問題を始め、制度が整っていないところがある。また宇宙ゴミ除去の技術も確立されていない。この3つの複雑な問題に取り組んでいるのがアストロスケール社である。

 

このような特殊な宇宙業界の収益面についても伺った。

 「最も注力しているビジネスモデルの一つは、コンスタレーションプレイヤーとの協業です。」(牧野氏)

 

現在世界にはインターネットを使えない人口が20億人いるという。インターネット環境を享受し、情報に触れることで社会は変わるという信念のもと、このインターネットにアクセスのない人達に対して、インターネットを提供するために動いているのがコンスタレーションプレイヤーと呼ばれる企業である。彼らは小型衛星を宇宙に打ち上げ、宇宙でインターネット網を作ろうとしている。1軌道に対して30個ほどの衛星をちりばめてインターネット網を作り、インターネットを提供するモデルを作ろうとしている企業があるそうだ。SpaceXFacebook、そしてSamsungといった企業だ。ただしハードウェアである衛星は5%7%は壊れていく。ここでのビジネスモデルはそのごみの回収サービスを提供するというものである。「地上で自動車が故障した場合にはJAFつまりロードサービスのようなイメージで、宇宙版ロードサービスを提供するサービサーの先駆者となりたいと考えており、ここから持続的な収益を得られるようにしたいと思っています。」(CEO 岡田氏)

 

もう一つの収益モデルは、ロケット会社との協業だと牧野氏は語った。

 「今の主流はロケットも再利用できるように、一度打ち上げたら戻って来て再利用できる仕様になっています。

 

SpaceX や航空宇宙企業Blue Originがやっている事業は成功例ですが、ロケットの上段部分は少なからずゴミになります。そのごみを除去するという点でロケット会社とも協業できると考えています。」(牧野氏)

 

「現時点では存在もしていないビジネスなので、このモデルまで到達するのは先の話になると思います。簡単ではないし、その間に中間キャッシュフローも生み出さなければならない。」と牧野氏は語る。そんな中、アストロスケール社の宇宙に対する問題意識に共感し、大塚製薬株式会社や国内トップの総合精密切削工具メーカー、オーエスジー株式会社をはじめとする多くの企業がスポンサーとなり、マーケティング活動を実施しているという。

 「より多くの人たちに宇宙のごみ問題を発信していくことで、今後政府や国連を動かす原動力にもなります。個人個人が問題意識を持てば、企業も自然とそれに応える流れができる。そして社会の認識も変わってくる」と語る牧野氏からゆるぎない信念と熱意が伝わってくる。

 LUNAR DREAM CAPSULE PROJECT

http://astroscale.com/services/lunar-deram-capsule-project


 日本でも、政府が宇宙政策委員会を発足するなど実際に宇宙問題に関する意識はこの一年でも大きく変化したという。宇宙ゴミ問題を自身の問題と捉え、立ち向かっているアストロスケール社のような宇宙事業機関がよりスムーズに事業を進められる環境が整う日が来るのもそう遠くはないかもしれない。

 

アストロスケール社は日本法人・株式会社アストロスケールにて開発を行っており、約20名が働いている。社員が20名とは少なく感じるかもしれないが、同社は大学と連携による共同研究や素晴らしい製作技術を有する様々な企業と連携しており、小型衛星の開発に取り組んでいる。その関連企業はなんと50社以上にのぼる。「開発は日本ですが、問題は世界規模です。弊社は欧米の航空宇宙業に強い企業やロケット会社とも協力しながらグローバル展開しています。」(牧野氏)

 輸入規制の問題もあり部品はほぼ日本製を使用する。海外製部品を使うと規制回避の問題などでハードルがあるという中で、「アストロスケール社は日本製の部品を使用という強みを持って、将来的には、大学と一緒に開発した部品の販売も視野に入れています。」と日本に開発・製造拠点を持つ強みについて牧野氏は語った。


kintone導入効果

 こんなアストロスケール社がサイボウズのkintoneを使っている。どのように利用しているのだろうか。

アストロスケール社 kintoneログイン画面


 「事業開発ではスケジュールやコストなどの詳細情報を定期的にエンジニアから吸い上げる必要があり、経理とも会計データについて毎日話しながら進めています。衛星を作るのには、膨大な数の部品が必要でプロジェクト毎に部品を買いたいという内容について、メールでやり取りを進めるなか、情報が整理できない状況になっていました。そんな中、購買稟議のシステム化が必要になりました。導入にあたって日本国内外の3製品を比較して、カスタマイズの柔軟性、モバイル環境、日本語と英語で利用できる高い利便性を持ち合わせたkintoneを導入することに決めました。」(牧野氏)

 現在では、kintone上で作成した購買稟議システムでの、上長承認がなければ、購入ができない仕組みになっており、これによりお金の流れや活動が見える化された。さらに、購買プロセスが明確化されているので、会計監査の対応も以前に比べ容易になったそうだ。


 「プロセス管理は一目瞭然で、蓄積されたデータをcsvで書き出すこともできる為、会計にも役に立っています。透明性のあるワークフローを確立できました。」と語った。シンガポール本社と日本開発拠点間で、日本人、外国人それぞれが日本語、英語で使える点も便利だという。今では契約書管理、NDA管理、出張申請、休暇申請などにkintoneを利用している。今後は、部品の在庫管理にも利用を拡大する考えだ。

今後の展望

 2018年の中旬に行うアドラスプロジェクトの実証実験を成功させ、今後収益が生まれるビジネスとして確立するという点にかかっています。我々のミッションである、‘To actively contribute to the sustainable use of space environment(持続的な宇宙環境利用への活発的な貢献)をモットーに、まずは宇宙ゴミ問題に取り組んでいき、社会にインパクトのある活動をしていきたいと思っています。」(CEO 岡田氏)

 国境がないことから、国際的な枠組みや本格的な活動実績がない宇宙ゴミ問題。

 アジアの中心シンガポールから、前例のないその大事業に挑むアストロスケール社から目が離せない。

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