海外各拠点の運送賠償請求「情報の見える化」をkintoneで実現

 

会社名 :SG HOLDINGS GLOBAL PTE. LTD.

事業内容:フレイトフォワーディング事業、ロジスティック事業、デリバリー事業、国際エクスプレス事業、その他

利用用途:輸送物資に関わる保険提供会社との共同


SG HOLDINGS GLOBALは、佐川急便の持株会社SGホールディングス株式会社の海外法人として、2012年シンガポールに海外事業•統括会社として設立。現在ではタイやベトナムなど海外25ヵ国に拠点を持ち、グループ全体で約90法人。海外社員数6000人弱の大手物流企業。今日は、SG HOLDINGS GLOBAL アドミニストレーション部門シニアマネージャーでありkintone導入を主導した、木村幹郎氏に話を聞いた。

SG HOLDINGS GLOBAL アドミニストレーション部門シニアマネージャーでありkintone導入を主導した、木村幹郎氏

複数のオフィスにまたがる業務フローの改善

海外統括としての役割を果たすために・・

海外統括として各国の拠点から集まる情報を集積して、管理するのは重要な業務の一つ。物流を展開する中で、必ず発生してしまうのが商品の破損とそれに伴う賠償請求だ。その際、各国の拠点からの情報報告はメールで、レポートはExcelで作成されていた。また、その報告書のフォーマットやテンプレートが各拠点で統一されておらず、管理する難しさを実感していた。さらに、クレームの報告書が手書きというのも問題だった。

kintone導入までの背景

過去に統括機能として情報の連携・共有化の取り組みがあり、別のITツールを使用していたが、特定のユーザーのみアクセスが可能だったため情報の共有が限定された範囲でしかなされていなかった。そこで、共有範囲の縛りがなく誰でも使えるプラットフォームとして、kintoneが候補に挙がる。同じタイミングで、保険会社からもコミュニケーション向上のためのツールを導入しないかという提案があったが、メールでの情報交換の域を超えるものではなかった。検討を重ね、シンガポールで開催されていたkintoneのセミナーに参加した木村氏は「まさに我々の求めているツール」と改めて認識、導入に踏み切った。

運送賠償請求の「標準化」に着手

まず一番の導入箇所として、運送で賠償請求が発生した場合に行う保険のクレーム処理プロセスの標準化を図ることに絞った。各国の拠点では独自のフォーマットを使用しており、テンプレート等もそれぞれ違っていた。コミュニケーションに関しては、各国拠点のクレーム担当者と保険会社の担当者とのやり取りのみ。進捗情報の報告が必ずしもあるわけでなく、全体の状況把握が困難だったため、統括会社としてまずプロセスを標準化し「見える化」に取り組んだ。

●導入決定からリリースまで(4か月間)

 2019年6月 導入決定

   → ソフトの開発(2週間)

   → クレームフォームのテンプレート化(各国のデータ約50項目を合わせる)

   → 各国拠点の保険クレーム担当者トレーニング

   → 承認ルートなどの設定

 2019年9月 テストラン1カ月

   → テストラン後の修正(多言語化)

 2019年10月 リリース 

当初は英語のみの表記を考えていたが、テストランの際に、クレーム処理は現場で働く人が多く、英語を使えるスタッフは少ないため現地語でも表記できないかという要望があった。そのため、タイ語などを導入する追加修正を実施。kintoneでは多言語に対応しているので、修正は問題なく行えた。

タイ語を追加した入力フォーム(画像をクリックすると拡大します)

クレーム情報のインプット時間を短縮

案件ごとのコミュニケーションが可能となり、担当者不在時でも対応が可能に

既存のプロセスの変更に対して社員は抵抗を感じていたようであるが、システムの画面を見せながら説明することで理解が得られ、スムーズに導入。システム導入に対しての現地スタッフの反応も上々だった。導入前は、保険会社の担当者とクレーム担当者はメールもしくは電話でのやり取りだったため、連携するのに時間を要していたが、kintoneでは案件ごとのコミュニケーションが可能となり、担当者が不在であっても対応できるようになった。その結果、クレーム情報のインプット時間が半減するとともに、一つの案件に割く時間が短縮し、業務効率が上がった。

導入後の移行もスムーズ

「今回の用途では今まで使っていた紙面の情報をkintoneに入れ込んでいくだけだったので、現地スタッフにとってはさほどの大きな変化がなかったのも大きな要因だったと思います。また、コミュニケーションが格段にとりやすくなったので、システム導入はプラスの要素のみでした。現地スタッフに内容を把握してもらうところをうまく伝えれば快く受け入れてくれる。反対に、現地スタッフにしっかり寄り添うところまでやらないと受け入れてもらえない」と木村氏。

各国拠点独自の様式で行われていた運送賠償請求のプロセス、テンプレートをkintoneに導入し標準化を図ることにより、今まで見えていなかった情報の共有が可能となった。現在までに5ヵ国での導入が完了。今後、導入国の拡大を図っていく予定。

スペース機能で各国ごとに情報を整理している(画像をクリックすると拡大します)

情報の見える化だけでなく、コスト削減も実現

システム導入による「見える化」のメリットはそれだけにとどまらない。従来、年間保険契約交渉は各国拠点で行われていたが、交渉方法も違っており、その結果として過払いが生じていた。また、保険のクレームの発生がない場合や件数が少ない場合は、必要以上に保険料を払う必要がないので、今回のシステム導入により、各国拠点の正確なデータ収集が可能となり、適正な保険料金を査定する指標になる。結果、システムを導入したことにより、年間の保険契約更新をシンガポールで一括に取りまとめることが可能になり、交渉時に有利に働きコスト削減も実現。

 

「今回のコスト削減は非常に大きいところ。また、今年度のデータをとることで来年度の交渉時には、コストを更に大幅ダウンできるのではないかという認識はしています。適正な保険料の交渉に際し、『実態を見える化』していくことがどうしても必要だったと思う」と木村氏。

各国拠点の実態の把握、リスク管理と対処

海外リージョナルヘッドの統括会社で、kintoneが果たせる役割は大きい。

「管理系であると、ドキュメントの管理、契約書、商標、訴訟案件、不正不祥事案件等の管理、リスク管理全般。人事系においては勤怠管理等、適用箇所は多いと思います」と木村氏。

 

現地スタッフにおける課題として、働き手のジョブホッピングが多いのが東南アジアの特徴。既存のシステムの場合、担当者が仕事を辞めた場合、過去の履歴等の情報が見れなくなってしまい、業務の効率が低下するという状況があった。kintone導入により、情報の共有化が可能となり、業務への支障が最小限にとどめられるようになった。

今後さらにシステムを新しく導入するなどの業務変革を行うことで、職場環境を改善し、ローカルスタッフを含め全ての社員が、働く意欲を更に高めてもらえる魅力的な環境にする必要がある。

 

 

kintoneの魅力

 「kintoneの良い点は、プログラミングを知らなくても作成や変更ができるツールであること。今回の運送賠償請求書においては、一目で状況を把握できるように、案件の進捗状況を知らせるステイタス部分を後で簡単に追加することも可能だった。非常に使いやすいツール」と木村氏。

  

海外統括会社として、全体の情報の「見える化」を進めることにより、リスク管理等にも非常に有効であると感じています。また、kintoneの適用範囲は広く、複数国の管理機能が一つのシステムに組み込める可能性を大きく感じています。」と木村氏は語る。